スクラム開発の世界的な浸透に伴って、スクラムマスターやプロダクトオーナーの認定資格にも注目が集まっています。転職サイトでも「スクラムマスター」や「プロダクトオーナー」としての募集を目にするようになってきています。
そんなスクラムマスターやプロダクトオーナーとしての資格を認定している団体にはどんなものがあるのでしょうか?今回は、スクラムの各団体について見ていきます。

Scrum Alliance®

Scrum Alliance®(スクラム・アライアンス)は、2001年に設立された非営利団体です。
認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster®:CSM®)はもとより、認定スクラムプロダクトオーナー(Certified Scrum Product Owner®:CSPO®)、認定スクラムデベロッパー(Certified Scrum Developer®:CSD®)など、スクラムに関するさまざまな認定を行っています。

104 GATHERINGS, 1,032,510 CERTIFICANTS, 70 USER GROUPS 上記のように、Scrum Alliance®のサイトにあるように、Scrum Alliance®による認定資格の所有者数は、世界中で100万人を超えています。また、年間を通して多くのギャザリングを世界各国で開催しており、いずれの開催地でも世界中から登壇者、参加者が集まり盛況を博しています。Scrum Alliance®は、スクラム関連団体はもちろん、アジャイル関連団体のなかでもとりわけ大きな影響力を持っていると言えるでしょう。

Scrum Alliance®では、下記の5つを最も重要な原則・価値として重んじています。 Courage(勇気)、Focus(集中)、Openness(公開)、Respect(尊敬)、Commitment(確約)

Courage(勇気)、Focus(集中)、Openness(公開)、Respect(尊敬)、Commitment(確約)いずれもスクラムの実践にあたって欠かせない要素であるとも言えるでしょう。これらの5つの原則を持って、教育、支援、探求、コミュニティ、つながりなどの提供をすることで、アジャイル活動の育成を続けています。

Scrum Alliance®

スクラム認定資格の種類

Scrum Alliance®が認定している主な資格には、大きく以下の3つがあります。

それぞれその名の通り、 スクラムマスター、プロダクトオーナー、スクラムデベロッパー(開発者)としての基本内容への理解が、Scrum Alliance® の定める水準に達していることを認定するものです。
Scrum Alliance® では、更にそれぞれの上位の認定資格を設置しています。
例えば CSM® の場合は、Advanced Certified ScrumMaster(A-CSM℠)、Certified Scrum Professional®-ScrumMaster(CSP®-SM)といったような上位資格があり、基礎資格となる CSM® からステップアップを経て認定申請を行うことができます。
いずれも最終的な認定資格は、認定チームコーチ(Certified Team Coach®:CTC)、認定エンタープライズコーチ(Certified Enterprise Coach℠:CEC)や、スクラム認定研修を実施する側となる認定スクラムトレーナー(Certified Scrum Trainer®:CST®)となります。
いずれの資格も十分な経験と知識が必要となりますが特に CST® は、スクラムやアジャイルの普及で世界中に成長をもたらす存在であり、スクラムの原則や価値において深く広い理解が求められます。

認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster®:CSM®)

いくつか種類があるスクラムマスターの認定資格の中でも、最もメジャーと言われている Scrum Alliance® の認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster®:CSM®)を見てみましょう。
CSM® を取得するには、3つのステップがあります。

  • Step1: 認定スクラムトレーナー(Certified Scrum Trainer®:CST®)による16時間のトレーニングコースに参加するか、認定アジャイルコーチ(CAC)から最低25時間の直接コーチングを受けることで、CSM® 認定テストの受講資格を得ます。
  • Step2: 50問からなる CSM® 認定テストを受けます。50問中37問が合格ラインです(制限時間60分)
  • Step3: CSM® 認定テストの合格後は、CSM® ライセンス契約に同意し、Scrum Alliance® のメンバーシッププロフィールを登録します。

さらに、無事にCSM®の認定資格を取得した後には、

という上位資格があるため、CSM®取得後も更に上を目指してキャリアパスを積んで行くことが可能です。

Scrum Inc.

Scrum Inc. は、スクラムの共同創案者であるジェフ・サザーランド(Jeff Sutherland)氏がアメリカで設立した企業です。2019年1月には、日本法人として「Scrum Inc. Japan株式会社」が設立しています。企業として、対個人、対企業のコンサルティング、カウンセリングも提供しており、 スクラムに関するトレーニングやいくつかの認定資格も扱っています。

Scrum Inc.

スクラム認定資格の種類

Scrum Inc. が認定している資格には、Licensed Scrum Master(LSM)、Licensed Scrum Product Owner(LSPO)、Scrum@Scale®、Scrum@Hardware の4種があります。

LSMは、Scrum Alliance® の CSM® にあたる資格で、CSM®同様にトレーニングの受講後に、Webでの Scrum Inc.認定資格スクラムマスター試験に合格し、合否が判断されたうえ、LSM認定証を受け取ることができます。 また LSPO は、Scrum Alliance® の CSPO® にあたる資格で、いずれも日本法人での研修は、Scrum Inc. Japan 代表取締役であり、スクラムトレーナー/スクラムコーチの荒本実氏によって主に開催されています。

Scrum.org™

Scrum.org™ は、ジェフ・サザーランド氏と同じくスクラムの共同創案者であるケン・シュエイバー(Ken Schwaber)によって、2009年に設立された組織で、いずれの団体と同じく、スクラム関連の認定資格を扱っています。マサチューセッツ州ボストン(米国)に拠点を置いています。 残念ながら日本語でのトレーニングは開催されていませんが、日本でも年に数回、Scrum.org™ のトレーナーによる認定トレーニングが開催されています。

Scrum Org™

スクラム認定資格の種類

Scrum.org™ が認定している資格には、Professional Scrum Master™、Professional Scrum Product Owner™、Professional Scrum Developer™、Scaled Professional Scrum™ などがあります。
PSM™ は、Scrum Alliance® の CSM® にあたる資格で、Scrum.org™ では、PSM™ を3つのレベルがあります。スクラムの基本レベル習得を実証するレベル I(PSM I)、スクラムフレームワークを適用して実践レベルで複雑な問題を解決する能力をを認められるレベルII(PSM II)、さらに卓越した能力を認定するレベルIII(PSM III)です。
いずれもオンラインでの認定試験での合格が必須となっています。
PSM I も PSM II も認定資格取得のためのトレーニングコースを受講する必要はなく、そのまま Scrum.org™ サイト上から受験代を支払うことで受験が可能ですが、いずれもそれぞれのレベルにあったトレーニングを受講することが勧められています。PSMの中で最上位レベルのPSM III は、PSM IとPSM IIに合格した方のみが受験の権利を与えられています。

Scrum Alliance® の CSPO® にあたる PSPO も、PSM同様に3段階のレベルが設けられていますが、開発者向けの認定資格である PSD は、現在のところ1段階のみとなっています。

まとめ

いずれの認定団体も、スクラムマスター、プロダクトオーナー、デベロッパー向けの資格認定を行っていますが、それぞれのレベル感や資格取得の方法に違いがあります。 認定資格を取得するための研修やトレーニング、また講師やトレーナーにも違いがあるので、自分の目指すレベルや希望に沿ったものを選ぶと良いでしょう。

関連URL