将来の見通しを立てにくい現代の市場環境において、スクラムと呼ばれるフレームワークが多くの企業で注目を集めています。
そのスクラムにおいて3つ定義された役割のうちのひとつであり、スクラムというフレームワークにおいて象徴的存在ともいえるスクラムマスターとは、どんな存在でどんな責任があるのでしょうか。 スクラムガイド では、下記のように記されています。
スクラムマスターは、スクラムガイドで定義されたスクラムを確立させることの結果に責任を持つ。
スクラムガイド
またスクラムマスターは、自ら上に立ち先導していくような支配型リーダーシップとは異なり、チームや組織を下から支えるような支援型リーダーシップ(サーバントリーダーシップ)が求められる役割となっています。
スクラムマスターは、スクラムチームと組織において、スクラムの理論とプラティクスを全員に理解してもらえるよう支援することで、その責任を果たす。
スクラムガイド
スクラムマスターは、スクラムチームの有効性に責任を持つ。スクラムマスターは、スクラム チームがスクラムフレームワーク内でプラクティスを改善できるようにすることで、その責任を果たす。
スクラムマスターは、スクラムチームと、より大きな組織に奉仕する真のリーダーである。
スクラムにおいて重要な役割であり、プロダクトオーナー、開発者、そして組織のいずれをも支援する立場にある。
そんなスクラムマスターが、一般的な組織において注意を払うべき事項をリスト化した 「The Scrum Master Checklist」 を紹介します。
典型的なスクラムマスターは、1度に2~3チームを担当します。 もしあなたがスクラムマスターの役割を、ミーティングの運営やタイムボックスの意識の促進、周囲の人たちから共有される明らかな障害物を取り除いたりする、ということで十分だと判断するのであれば、パートタイム感覚でもこなすことができます。 おそらく致命的なことにはならないでしょう。
一方で、誰もが不可能と思うようなことをチームが成し遂げ、組織変革までを見据えられるなら、あなたは”卓越した”スクラムマスターであると考えられます。
“卓越した”スクラムマスターは、一度に一つのチームを担当します。
1人の専任スクラムマスターにつき、チーム7名程度から始めることをお薦めします。
もしどのようなことをしたらいいのかイメージがもてない場合は、プロダクトオーナーやチーム、チーム外の組織がどのような考えをもっているか、今どのようなことが起きているのか、チームの技術や開発方法はどうなっているか、理解することから始めましょう。 万能な処方箋ではありませんが、私がこれまで出会ってきたスクラムマスター達が見落としがちなことをまとめました。
以下のそれぞれのボックスに、√, ∆, ?, もしくは N/A をつけてみてください。
チェックの付け方は一番後のページに記載しています。
スクラムマスターは、様々な方法でプロダクトオーナーの有効性を高めます。
スクラムマスターは、チームメンバーと協力して仕事を進めるという模範を示すことが求められますが、技術的なタスクに没頭してしまう危険性があります。チームに対する主な責任について考えてみましょう。
・ 明確な目標(期待やルールが明確であり、自分のスキルや能力に合った達成可能な目標である)
・ 選択と集中ができ、限られたこと・もの・場所に注意を向けることができる状態
・ 迷いがなく、一心不乱な状態。
・ 直接かつ即時的なフィードバックを受けれる状態(活動の過程での成功や失敗が明らかで、必要に応じて行動を適応することができる)
・ 現在の能力レベルとチャレンジのバランスが適切な状態。(アクティビティは簡単すぎず、難しすぎず)
・ 状況や活動を自分自身で選択し制御できているという感覚がある状態
・ 本質的にやりがいのある活動であり、楽しさがある状態
上記項目にほとんどのチェックがつけられても、まだ時間が残っている場合は、ぜひあなたのお話を聞かせてください。 人間の創意工夫を生み出す決まった公式はどこにもありません。 このチェックリストに列挙したポイントは、あなたの役立つかもしれないし、役に立たないかもしれません。 一度あなたがチームや組織に変化を起こすために、何が出来るかを考え始めると、実行に移すのが怖くなってくるかもしれません。 その気持ちは、あなたがスクラムマスターとして正しい道を歩んでいる証拠なのです。
このチェックリストを研修・トレーニングとして渡された場合、もしくは現在の(または最新の)あなたの雇用者がスクラムのようなものを試している場合は、「あなたから見えた状態」でチェックをつけてください。 各項目に次のいずれかを記入してください:
現在の(または最新の)あなたの雇用主がスクラムのようなものを試していない場合は、各項目に次のいずれかを記入してください:
全てにチェックをつけたら、このチェックリストに関係あるかどうかに関わらず、組織改善フォームに2~6個の組織課題を宣言しましょう。 その中で1%でも改善する可能性がある組織課題を選んでください。
Odd-e Japanでは、Scrum Alliance®認定研修(トレーニング)である 認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster® :CSM®)研修・トレーニングを開催しています。
講師は、日本人の認定スクラムトレーナー(Certified Scrum Trainer®:CST®)である弊社代表 江端一将(ebacky) が努めます。また、海外より講師をお招きしての開催も行っています。
江端一将(ebacky) による認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster® :CSM®)研修・トレーニングは、参加者と一緒にアジェンダを決めるという方法をとっています。(※ 固定されたアジェンダがなく、参加者と作り上げていく研修・トレーニングスタイルは、CST®の中でもランクの高いトレーナーのみに認められたスタイルです) 以下の内容は、過去に取り扱ったことがあるアジェンダの例です。
Odd-e Japan 公式トレーニング
- イントロダクション
- 歴史
- 自律的な組織
- スクラムの概要
- スクラムの役割
- スクラムのセレモニー
- スクラムのアーチファクト
- スクラムの妨害
- 受入れ基準とDone
- 技術
- スクラムのスケーリング
- 研修を終えて
また、認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster®:CSM®)の研修・トレーニングを受講することで、スクラムに関する以下の基礎知識を得ることができます。
Odd-e Japan 公式トレーニング
- スクラムマスターの基礎が理解できます。
- あなたの組織、チームの(より良い)チェンジエージェントになれます。
- あなたのチームの(より良い)スクラムマスターとして働けるようになります。
- スクラムチームのメンバーとして、(より)活躍できるようになります。
- スクラムチームのプロダクトオーナーとして、(より)活躍できるようになります。
- 他者へスクラムマスターとしてスクラムを(理解されるように)説明できるようになります。
- 自律的なチーム、組織とは何かを体験できます。
- スクラムを実践しながらtime-to-marketをどのように計測し、どのように短くするのか理解できます。
- 体験を通じて、プロダクト開発において人が持つ錯覚や落ち入り易い事象を理解できます。
- (スクラムを実践できなくても)プロジェクト管理やプロダクト開発の改善のヒントを得ることができます。
いかがでしたでしょうか? ”卓越した”スクラムマスターを目指そうと思ったら、自身が直接関与しているプロダクトオーナーや開発者のみならず、周辺組織や会社制度の課題などにも目をむけて、支援していく必要がありそうですね。スクラムマスターに必要な知識やスキルは多岐にわたるため、スクラムの実践を通じ、自分自身の成長を継続していくことも重要です。時々このチェックリストの存在を思い出し、ご自身の課題を確認してみてください。
認定スクラムマスター(CSM®)トレーニングを実施しています。
下記リンクよりお申し込みください。