スクラムで3つ定義された役割のひとつであるプロダクトオーナー。
具体的にプロダクトオーナーとは、どんな存在でどんな責任があるのでしょう。
スクラムガイドでは、下記のように定義されています。
プロダクトオーナーは、スクラムチームから生み出されるプロダクトの価値を最大化することの結果に責任を持つ。組織・スクラムチーム・個人によって、その方法はさまざまである。
スクラムガイド
プロダクトオーナーは、効果的なプロダクトバックログ管理にも責任を持つ。
開発者、スクラムマスターとともに生み出すプロダクト。そのプロダクトのROI(投資対効果)に対して最大の責任を持つ存在。
さらに、下記のように補足されています。
プロダクトオーナーをうまく機能させるには、組織全体でプロダクトオーナーの決定を尊重しなければならない。これらの決定は、プロダクトバックログの内容や並び順、およびスプリントレビューでの検査可能なインクリメントによって見える化される。
スクラムガイド
プロダクトオーナーは1人の人間であり、委員会ではない。プロダクトオーナーは、多くのステークホルダーのニーズをプロダクトバックログで表している場合がある。ステークホルダーがプロダクトバックログを変更したいときは、プロダクトオーナーを説得する。
このように、1人の人間がプロダクトバックログアイテム(PBI)の優先順位付けにおいて、最終的な責任を持ちます。プロダクトの価値を最大化することの結果に責任を持つために「効果的なプロダクトバックログ管理」がありますが、スクラムガイドには下記のような具体例も記載されています。
スクラムガイド
- プロダクトゴールを策定し、明示的に伝える。
- プロダクトバックログアイテムを作成し、明確に伝える。
- プロダクトバックログアイテムを並び替える。
- プロダクトバックログに透明性があり、見える化され、理解されるようにする。
プロダクトバックログアイテム(PBI)とは、プロダクトバックログに含まれる項目のこと。全てのプロダクトバックログアイテムは、優先順位に従って順番に並べる必要があります。優先順位の決定は、プロダクトオーナーにとっての重要な責任であり、スクラムマスターや開発者、ステークホルダーなど他の人と一緒に決定した場合であっても、結果についてはプロダクトオーナーが責任を持ちます。これらの決定は、プロダクトバックログの内容や並び順、およびスプリントレビューでの検査可能なインクリメントによって見える化されます。
また、プロダクトオーナーにとって、「プロダクトゴールを策定し、明示的に伝えること」も重要な役割の一つです。プロダクトゴールは2020年11月に更新されたスクラムガイドから導入されました。プロダクトゴールはプロダクトの将来の状態を表したもので、プロダクトバックログに含まれます。「プロダクトゴールを達成するために必要な何か(What)=プロダクトバックログアイテム」であるとも言えるでしょう。プロダクトオーナーは、常にビジネスの状況、組織全体の戦略上の位置付け、市場におけるビジネス価値などを踏まえて、プロダクトゴールを策定する必要があります。
スクラムガイドで定義しているプロダクトは、ソフトウェアや物理的な製品に限りません。サービスの場合もあれば、より抽象的なものの場合もあります。いずれの場合でも、スクラムでは1人の人間がプロダクトオーナーを担当します。ここでは、プロダクトオーナーをこれから担当する、あるいは現在担当している方向けに、プロダクトオーナーチェックリストを紹介します。スクラムガイドに書かれているような基本的な事柄が中心ですが、まずは全てに「はい」と回答できる状況を目指してみてください。
いかがでしたでしょうか?基本的な事柄だけでも、プロダクトオーナーの役割は多岐に渡りますし、スクラムを採用するプロダクトの種類によってプロダクトオーナーに必要なスキルや知識も様々です。プロダクトオーナーは大変な役割ですが、何よりも重要なのはプロダクトに対する情熱です。スクラムマスターや開発者、ステークホルダーの支援も受けながら、プロダクトと一緒に成長していきましょう。
Odd-e Japanでは、Scrum Alliance®認定研修(トレーニング)である 認定スクラムプロダクトオーナー(Certified Scrum Product Owner® :CSPO®)研修・トレーニングを開催しています。
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